インフルエンサー施策の管理表を自動化し、担当者の負担を減らす方法

Ding Yu

前回の記事では、インフルエンサー施策に取り組む事業者が、なぜ最後には巨大で複雑な管理表を抱えることになるのかを書きました。

記事を読んだ方から、「では、実際にどう解決すればいいのか」と何度も聞かれました。

今回は、自分で構築できる自動化の流れを紹介します。

Google SheetsやExcel、Larkを別のツールに置き換えたり、最初から新しい管理システムを導入したりする必要はありません。チームは使い慣れた表をそのまま使い、これまで人が行っていた作業だけを自動化します。

全体像

この方法には、2つの原則があります。

  1. いま使っているツールや運用をできるだけ残し、人手の作業だけをソフトウェアに置き換える。
  2. 自動化は決められた手順どおりに実行し、AIにワークフローの実行を任せない。

1つ目はとても重要です。チーム全体に仕事の進め方を変えてもらう必要があると、自動化はなかなか定着しません。いまGoogle Sheetsを使っているなら、自動化した後もGoogle Sheetsを使い続けられます。人が転記、確認、更新していたデータを、できる限りプログラムが処理するようになるだけです。

2つ目は、自動化の内容をあらかじめ明確に決めておくという意味です。各ステップで何をするかを定義し、実行時にはその手順を厳密に守ります。CodexやClaude CodeのようなAIエージェントにプログラムを書いてもらうことはできますが、実行のたびに次の行動をその場で判断させるべきではありません。

目標

いまの業務が、次のような流れだとします。

1. InstagramのインフルエンサーがShopifyストアで注文する
2. 注文情報とInstagramアカウントをGoogle Sheetsに記録する
3. 商品サンプルを発送する
4. 商品が届いたか、届いた後に指定の内容(「@あなたのアカウント」など)を含む紹介動画が投稿されたかを毎日確認する
5. 投稿されていれば動画のURLを表に記録し、まだならメールで催促する

実際の運用はもっと複雑なことも多いですが、基本はこの5つです。

これを自動化すると、次のようになります。

1. InstagramのインフルエンサーがShopifyストアで注文する
2. Shopifyで注文にタグを付け、インフルエンサーのInstagramアカウントを記録する
3. 商品サンプルを発送する
4. 商品が届いたか、届いた後に紹介動画が投稿されたかをシステムが毎日確認する
5. 投稿されていればシステムが動画のURLを表に記録し、まだならフォローメールを送る

つまり、これまで人が行っていたデータ入力、ステータス確認、メールでのフォローを自動化できます。

構築方法

1. Google Sheetsを自動化できる形に整える

Google Sheetsには、少なくとも次の列を用意します。

  • Shopify注文番号
  • Instagramアカウント
  • ステータス:発送待ち、配達待ち、投稿待ち、要確認、完了
  • Instagram動画URL
  • リマインドメール送信日時

2. Shopifyの注文をGoogle Sheetsに同期する

このステップでは、ShopifyからGoogle Sheetsへの転記を自動化し、インフルエンサーの注文が自動で表に追加されるようにします。

どの注文がInstagram経由なのか、どのインフルエンサーの注文なのかをプログラムが判断できるよう、注文を処理するときに2つの目印を付けます。

  1. Shopifyの注文詳細にあるTagsへInstagramを追加する。

    Shopifyの注文詳細にあるTagsの入力欄

    Shopifyの注文詳細にあるTagsへInstagramを追加します。

  2. Notesに1行追加し、インフルエンサーのInstagramアカウントをInstagram=@アカウント名の形式で入力する。たとえば、次のように記載します。

    Instagram=@felixding

    Shopifyの注文詳細にあるNotesの入力欄

    Shopifyの注文詳細にあるNotesへInstagramアカウントを入力します。

Instagram=@の部分は、必ずこの形式にしてください。Notesにほかの内容があっても構いません。プログラムはInstagram=@で始まる行だけを読み取ります。

次に、ShopifyとGoogle SheetsのAPI権限を取得します。Shopifyの開発者向けドキュメントGoogle Developersで、それぞれアプリとプロジェクトを作成し、API認証情報を取得してください。

準備ができたら、CodexやClaude CodeなどのAIエージェントに、次のように依頼してプログラムを書いてもらいます。

実行するたびに、Shopifyの注文をGoogle Sheetsへ同期するプログラムを書いてください。

Shopifyで「Instagram」タグが付いている注文だけを同期してください。

Google Sheetsの次の列へ同期してください。

- Shopify注文番号:Shopifyの注文番号を入力する
- Instagramアカウント:注文のNotesから「Instagram=@」で始まる行を探し、`@`より後ろの文字列をInstagramアカウントとして使う。たとえば`Instagram=@felixding`が見つかった場合、アカウントは`felixding`。該当する行がない場合や形式が正しくない場合は推測せず、Google Sheetsでその注文のステータスを「要確認」にして、その注文の処理を中止する
- ステータス:
  - 注文が未発送なら「発送待ち」
  - 発送済みだが相手に届いていないなら「配達待ち」。Shopifyの配送情報で、すべての荷物が配達済みになった場合だけ到着済みと判断する
  - 発送済みで、すべての荷物が相手に届いているなら「投稿待ち」

同期するときは、「Shopify注文番号」でGoogle Sheetsに同じ注文があるか確認してください。すでに存在し、ステータスが「要確認」または「完了」なら、変更せずにスキップしてください。

実行が終わるたびに、追加した注文数と更新した注文数を教えてください。

ShopifyとGoogle SheetsのAPI認証情報はすでに持っています。どこに保存すればよいか教えてください。

このプログラムが正しく動くまで調整できたら、次へ進みます。

3. 確認とフォローを自動化する

ここが本題です。Instagram、Google Sheets、Shopify、Gmailを1つのワークフローにつなぎます。

まず、Meta for DevelopersでInstagramのAPI認証情報を取得します。次に、Googleアカウントのアプリパスワード画面でアプリパスワードを作成してください。

続いて、先ほどのプログラムを次のように修正してもらいます。

新しい機能を追加してください。プログラムを実行するたびに、次の処理を行います。

1. 既存の処理を変えずに、Shopifyの注文をGoogle Sheetsへ同期する
2. Google Sheetsから、ステータスが「投稿待ち」で「リマインドメール送信日時」が空欄の注文をすべて読み取る
3. 対象の注文ごとに、「Instagramアカウント」を使って、そのアカウントが直近2日間にInstagramへ投稿した動画を取得する
4. 動画のキャプションに「@あなたのアカウント」が含まれているか確認する
   - 該当する動画が見つかったら、Google Sheetsの「Instagram動画URL」に動画のURLを入力し、ステータスを「完了」に変更する
   - 見つからなければ、Shopify注文番号から注文者のメールアドレスをShopifyで取得し、下記のテンプレートでリマインドメールを送信する。その後、「リマインドメール送信日時」に現在の日時を入力する
5. 更新した注文数と、各注文をどのように更新したかを教える

InstagramのAPI認証情報、Gmailのユーザー名、Gmailのアプリパスワードはすでに持っています。どこに保存すればよいか教えてください。

リマインドメールのテンプレート:

件名:(ここにメールの件名を入力)
本文:(ここにメールの本文を入力)

動作確認が終われば、Shopify + Instagram -> Google Sheets -> Emailという流れのワークフローが完成です。

API権限と認証情報

各サービスのAPI権限や認証情報を取得する方法は、この記事の主題ではないため、ここでは簡単にしか触れていません。ただし、実際の設定は言葉で聞くほど簡単ではありません。

たとえば、自分だけで使う場合でも、Google Sheetsを読み書きするにはService Accountを作成し、そのメールアドレスにGoogle Sheetsを共有して編集権限を与え、JSONキーファイルを設定する必要があります。

時間がかかることを想定し、各サービスの公式ドキュメントを確認しながら落ち着いて設定してください。

ほかのプラットフォーム

同じ考え方で、ほかのプラットフォームを使ったワークフローも構築できます。

  • TikTok Shop
  • Lark
  • YouTube
  • Facebook
  • Threads

大切なのは、異なるプラットフォームをどうつなぐかを整理することです。おそらく、ここが最も難しいところです。

既製のサービスを使う方法

時間をかけられるなら、ここまでの考え方に沿って、表計算ソフト、API、AIコーディングツールを使い、自分で構築することも十分に可能です。

ただし、プログラムを書いたら終わりではありません。その後も各サービスの認証を維持し、エラーや再試行を処理する必要があります。APIや表の構成が変われば、プログラムも修正しなければなりません。

自分で構築して長期間メンテナンスしたくない場合は、私が開発しているAqua Blueを使う方法もあります。Aqua Blueは、いま使っている表を置き換えるものではありません。異なるプラットフォームと表をつなぎ、決めたルールどおりに動くワークフローを作ります。判断できない場合だけ、人に確認を依頼します